引越しに伴う住民税の手続き方法|払わない場合どうなるかも解説

引越しに伴う住民税の手続き方法|払わない場合どうなるかも解説
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summary
  • 住民税は、私たちが行政サービスを受けられるように設定された税金で、原則払わないという選択はありません
  • 引越しによって住民税を払わないで良いとする時期はなく、転居先で別途支払いの手続きが必要です
  • 住民税の納付方法は、会社員とそれ以外で違います

引越しにともなって気になる事項に「住民税」があります。私たちが普段の生活をするうえで重要な税金であり、払わないという選択肢は一部の非課税世帯を除いて原則ありません。では、引越しにともなって住所が変更になった場合、住民税の扱いはどうなるのでしょうか。

今回は住民税の概要と納付方法、住民税が発生する仕組みや引越しにともなう住民税に関する疑問にフォーカスして解説します。引越しで住民税の扱いがどうなるのか知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

住民税とは

住民税とは

住民税とは、私たちが普段の生活を不自由なく生活するうえで大切な行政サービスにかかる費用を負担する税制のことです。たとえばゴミの収集・処分にかかる費用や教育・福祉、消防や救急といった生活インフラを維持するために必要なものです。住民税は、その地域に住む人が快適かつ不自由なく生活をするために必要な税金であり、決して使い道が不透明なものではありません。

都道府県と市区町村に収める2つの地方税を総称した呼び名であり、前年の合計所得に対して都道府県民税が4%、市区町村民税が6%となっています。合計で10%となっており、多くの住民税について解説する書籍はWebページでは10%で計算されていることがほとんどです。もちろん、分けて計算することもできますが、納税の際は明確に分類されているわけではないため、10%で計算してしまっても問題はありません。なお、一部税率が異なる自治体もあるため、確認をしましょう。

具体的には前年の1月1日~12月31日までの所得に対して課税されますが、納付は翌年の6月からになります。納税額が確定する時期と納付がはじまる時期にタイムラグがある点に注意が必要です。なお、各自治体によって設けられた水準以下の人は非課税の扱いになり、住民税を納付する義務がなくなります。引越しにともなって翌年の住民税の納付先が変更になるため、忘れずに住民票の異動(移動)を済ませましょう。

引越し後の住民税の納付先

引越し後の住民税の納付先

引越し後の住民税の納付先は、いつまで旧住所に住んでいたかによって変わります。納税額が決定されるのは毎年6月ですが、6月よりも前に引越しをしても納付先は旧住所のあった自治体です。

住民税のルールとして、1月1日時点で住んでいた自治体に納付するという決まりがあります。つまり、前年の12月31日までに新居に引越しして住民票を異動(移動)させている場合は新住所のある地方自治体に、都市が明けて1月1日に新居に引越しして住民票を異動(移動)した場合は旧居の住所にある地方自治体に納税しなければならないのです。

引越しにともなって「納税先が変更になる」と思っている人もいるようですが、住民税単体での住所変更や異動(移動)手続きはありません。納付先は、1月1日を境に住民票の異動(移動)が完了している(=引越しが完了している)かどうかで変更され、以降1年間の納付先変更はないことを覚えておきましょう。

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引越しにともなう住民税の手続き

引越しにともなう住民税の手続き

引越しにともなって行政書類のいくつかは住所変更が必要です。しかし、住民税は住所変更の必要がなく、住民票の異動(移動)に合わせて自動的に更新される仕組みになっています。したがって、住民税に関する住所の情報を更新したい場合には、住民票の異動(移動)をしなければならないということになります。これは同一市区町村内での引越しも、違う市区町村への引越しでも共通です。

自営業やフリーランスの場合は、住民票の異動(移動)で納税通知書の送付先が変更されるため、これ以降の手続きは必要ありません。会社員の場合は住民票の異動(移動)と合わせて、勤務する会社への住所変更の報告が必要です。忘れずに報告するようにしてください。

以下では、住民税の納税先が変更になる住民票の異動(移動)について手順を解説しています。必要な書類やものを用意し、忘れずに手続きしましょう。

住民票の引越し手続きはこちらの記事でご紹介します。

同一の市区町村へ引越しする際の手続き方法

同一の市区町村へ引越しする場合は、転居届の提出が必要です。手続きは住所のある市区町村役場の市民課や戸籍課でできます。必要な書類は次のとおりです。

【必要な書類】

  • 印鑑
  • 本人確認ができる書類(健康保険証や運転免許証、パスポートなど顔写真付きの身分証明書)

※自治体によっては必要書類が異なるため、事前に自治体HPなどで確認をしましょう。

顔写真付きの身分証明書がない場合は、公的に発行された書類で顔写真がないものを2通用意する必要があります。健康保険証や国民年金手帳が該当します。忘れずに持っていくようにしてください。

また、同じタイミングで国民健康保険の切り替えや印鑑登録なども済ませしまうと、あとからもう一度役所に足を運ぶ必要がなくなります。引越し後は住民票の異動(移動)以外にも、住所変更をはじめとする手続きや登録のことでバタバタすることが多いため、できることは一回で済ませてしまうようにしましょう。

引越し後の手続き一覧はこちらの記事をご覧ください。

異なる市区町村へ引越しする際の手続き方法

異なる市区町村へ引越しする場合は、旧住所のある市区町村役場で転出届を、新住所のある自治体で転入届を提出しなければなりません。転出から転入までは14日以内とされており、期限が過ぎると法律で罰せられる可能性もあります。期限内に手続きを済ませ、確実に住民票の異動(移動)を完了させましょう。

違う市区町村への引越しで必要な書類は次のとおりです。

【必要な書類】

  • 印鑑
  • 本人確認ができる書類(健康保険証や運転免許証、パスポートなど顔写真付きの身分証明書)
  • 転出証明書(転入届の提出時のみ)

※自治体によっては必要書類が異なるため、事前に自治体HPなどで確認をしましょう。

当日は役場の窓口に設置されている「転出届」「転入届」を記入し、窓口で提出します。転入届の申請の際には、旧住所の市区町村役場でもらった転出証明書も合わせて提出してください。また、転出に限り郵送での申請も可能ですが、14日以内の住民票の異動(移動)は絶対です。期限に間に合うよう、確実に手配しておきましょう。

住民票の異動(移動)に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。郵送での転出申請についても詳しく触れています。ぜひ参考にしてください。

住民税の納付方法

住民税の納付方法

住民税の納付方法には、普通徴収と特別徴収の2種類があります。

  • 住民税の納付方法
    納付方法
    普通徴収 納税義務者が市町村役場の窓口や金融機関を通じて納税する方法。納付期限は6月・8月・10月・翌年1月の4回。分割納付のほか、一括で納付する全納一時納付も可能。
    特別徴収 給与所得者(会社員など)が、その年の6月から翌年5月までの住民税を12ヶ月で分割して給与から天引きする納税方法。給与所得以外の所得がある場合は、それも特別徴収にできる。

大まかに分けると会社員か、個人事業主・フリーターで異なるといった分け方です。納税方法が大きく変わるため、頭に入れておきましょう。

会社員の場合

会社員の場合、住民税は会社の給与から毎月天引きされる特別徴収が適用されます。税額が決まった6月から納税期間である翌年5月までの12ヶ月で割り、毎月の給与から住民税分を引く納税方法です。

副業による所得や投資信託などで獲得した不労所得などにかかる住民税も、特別徴収の対象になります。手続きさえすれば会社の給与から副業や不労所得分の住民税も天引きされるため、納税忘れがなくなるのがメリットです。なお、給与所得によって算出された住民税は特別徴収のまま、副業による収入は普通徴収にすることもできます。自身で都合のいい方法で納税できる手続きを進めましょう。

個人事業主、フリーターの場合

個人事業主、フリーターの場合、6月に税額が決定したのちに住民税の納付書が郵送されてきます。5枚綴りになっており、1枚は全額一括での納付用、残りの4枚は分割して納税する用です。自身に都合のいい形で納付できるため、一括でも分割でも問題ありません。

ただし、納税には期限があるため、期日までに納税しなければなりません。延滞した場合は督促状が送付され、納税を促されます。延滞した場合は従来の納税額に延滞金が上乗せされるようになっています。督促状が届いた場合は、すぐに市区町村役場の担当窓口に連絡してください。無視し続けていると、最悪の場合、財産を差し押さえられてしまう可能性があります。

住民税の仕組み

住民税の仕組み

住民税には普通徴収と特別徴収があり、一般的に会社員が特別徴収、それ以外が普通徴収だと説明しました。納税方法の違いで、内容や額面に変更はありません。先に紹介した表のとおり、住民税は会社員などの給与所得者のあいだは特別徴収が適用され、それ以外は普通徴収となることがほとんどです。なお、特別徴収になっている人でも、副業による収入や不動産所得がある場合、それにかかる住民税は特別徴収でも普通徴収でも選択できるようになっています。都合のいい方法を選択するといいでしょう。

特別徴収における退職時の徴収方法

特別徴収が適用されている人が退職した場合、住民税の納付方法が変更になります。退職する期間によって、特別徴収されなかった住民税の徴収方法が変わってしまうため、理解しておく必要があるでしょう。退職する期間ごとに、徴収方法がどのように変化するのかを解説します。

6月1日から12月31日までに退職する場合

6月1日~12月31日までに退職する場合、つまり住民税の納税額が決定し特別徴収で給料から天引きが開始されたのちに退職した場合は、原則普通徴収に切り替わります。退職後しばらくすると、納付書が郵送されてくるため、その納付書を使って住民税を納付しなければなりません。徴収される住民税額は、特別徴収で天引きされなかった差額分です。

なお、納税義務者が退職先に申告することで、翌5月まで特別徴収で支払う予定であった住民税を退職金や給与から天引きしてもらうこともできます。退職前に、勤務先へ確認してみましょう。

1月1日から4月30日までに退職する場合

1月1日から4月30日までに退職する場合は、一括徴収の対象になります。1月1日から5月までの残り期間の住民税は、企業から支給される給与や退職金から差し引かれます。こちらは退職者から申出なくても手続きを進めてくれるでしょう。

ただし、人によっては一括徴収では控除できない住民税がある場合もあります。この場合は普通徴収となり、納付書に書かれた期限内に納付する必要があります。

5月1日から5月31日までに退職する場合

退職日が5月1日~31日の期間の場合、通常どおり5月分給与から住民税の天引きが行われます。5月に退社する場合は、国が定めた住民税の特別徴収の期間場満了するため、別途普通徴収による納税の必要はありません。手続きや、退職金から天引きしてもらうこともありません。

このように、退職月によって特別徴収から納税方法が変更になります。もし、引越しにともなって退職する、あるいは転職のために引越しをする場合は上記のようになることを覚えておきましょう。退職する際に、退職金や給与から残った分を徴収してもらうためには、別途退職先と相談しておいてください。

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住民税に関するよくある質問

住民税に関するよくある質問

住民税に関する疑問は、引越しを経験したことがある人なら一度は経験したことがあるでしょう。ここでは、引越しにかかわる住民税の疑問を5つ挙げ、それに対しての回答と解説を紹介します。引越しするものの、住民税で不安やわからないと思っていることがあればぜひ参考にしてください。

旧住所と新住所で二重に請求されることはある?

引越しに関連する住民税の疑問のなかで、とくに多いのが旧住所・新住所の二重で請求されることはないかどうかです。納税途中で住民票が移っていることからくる疑問ですが、この点に関しては二重請求される心配はありません。

前述「引越し後の住民税の納付先」でも解説したとおり、納付先は1月1日時点で住所のあった自治体です。もし、1月1日時点の旧住所で生活していた場合、旧住所のある自治体からしか請求はありません。逆に1月1日時点で新住所に引越しが完了し、住民票も異動(移動)済みなのであれば、新住所のある自治体から請求が来るという仕組みです。

住民税は、税額が決定するのが同じ年の6月と遅く、それまでに引越しをした場合、二重請求されるのではないかと勘違いされがちです。住民税の納付先は1月1日時点に住所があった場所からだけ。不安に思う必要はありません。

住民税の納付を忘れてしまった

特別徴収の場合は問題ありませんが、普通徴収で納税する場合は支払期限があり、その期限が過ぎると延滞とみなされます。延滞後の納税額には、日数に応じて延滞税が加算される仕組みになっており、本来納税する金額+アルファの金額を納税しなければならなくなります。

ついうっかり納付を忘れてしまった場合は、速やかに市区町村役場の担当窓口に問い合わせましょう。支払期限が切れた納付書では納付ができない自治体もあり、新たに納付書を発行してもらう必要がある可能性も否めないためです。ちなみに、うっかり忘れてしまった場合でも、延滞税は加算させるため、納付期限をよく確認しておきましょう。

なお、あまりに悪質かつ督促状や催告状にも応じない場合は、財産の差し押さえをされる可能性もあります。住民税は住民票と紐づけられているため、払わないまま逃げ続けることはできません。納付書が郵送されてきたら期日を守って納付しましょう。

住民税を払わないまま引越しはできる?

納付期限内で住民税を払わないまま引越しはできます。しかし、納付書が手元にある以上、住民税納付は義務であるため必ず納付しなければなりません。そもそも住民税は、課税される前年の所得に応じて税額が決定されます。納付先は納付書を発行した自治体であり、納税義務者が引越しをして住所変更をしても納税の義務や納税先に変わりはありません。手元にある納付書を使用して、期限内に納付するようにしましょう。

つまり、どこに住んでいても納付書が手元にある場合は納税しなければならないのです。前述のとおり、基本的に逃げ切ることはできません。引越しした後でも納税する必要があることを忘れてはいけません。

会社員なのに納税通知が届く場合がある?

会社員は、ほとんどが特別徴収であり、自身が納付書を使って納付することはありません。それにも関わらず、納税通知が届く場合があります。これには2つの理由が考えられます。

一つは給与所得者であっても会社が納税を普通徴収にしており、給与から天引きしていない場合です。企業によっては十分あり得る話であるため、雇用契約書や就業規則にある給与規定を確認するか、担当部署に尋ねるようにしましょう。もしくは会社のほうで特別徴収の手続きが終わっていない場合もあるため、合わせて確認するといいかもしれません。

もう一つの理由は、会社員でも副業などで別に収入があり、直前の確定申告の際に普通徴収にチェックを入れた場合です。この場合の納付書に記載されている住民税は、給与所得とは別に納付が義務付けられた住民税であり、別途支払わなければならないものです。会社の給与が特別徴収であり、かつそこから一緒に天引きしてほしい場合は、確定申告の際に特別徴収のチェックボックスにチェックを入れましょう。

住民票を移さず別の場所に住んでいる場合の納付先は?

住民票は原則、引越しをした場合は転入から14日以内に住民票を異動(移動)させることが住民基本台帳法で義務付けられています。期限を過ぎて移動させると罰金として5万円が科される仕組みで、厳格に運用がなされています。住民票に紐づけられている住民税は、基本的に納税義務者の現住所と住民票が同じであることを前提に運用されているのです。

ただし、例外もあります。単身赴任や下宿など、一時的に住所が変更になっている場合は住民票を異動(移動)させる義務がないとの判例が出されています。本来、異動(移動)を義務付けられている住民票ですが、この場合は生活拠点が変更されたとはみなされません。そのため住民票を異動(移動)する必要はなく、合わせて住民税の納付書も手元には届かないことになります。

しかし納税義務者である以上は、単身赴任中でも下宿中でも納付しなければなりません。納付先は住民票がある住所の自治体になります。納税自体は全国のコンビニエンスストアでも可能なため、納税のために住民票のある自治体に戻る必要はありません。納付書が住民票のある住所に届いた場合は、家族に代理で支払ってもらうか、住んでいる住所に贈ってもらうかの対策をしておきましょう。

まとめ

住民税を払わないままでも引越しはできます。しかし、住民税の納付書が送られてきている以上、納税義務者として納付する必要があります。住民票と紐づいてしまっている以上、住民税は必ず納付しなければなりません。

住民税が正確に支払われることで、私たちは日々行政サービスを受けながら生活ができていることを理解しておきましょう。ただ取られるお金なのではなく、私たちの生活を支えるうえで必要な税金であることをきちんと理解し、期限までに納付するようにしなければなりません。