目次
- 引越しの作業は基本的に丸1日かかります
- スムーズに作業を進めるためにやるべきことを把握しておきましょう
- 荷造りを工夫し、あらかじめ新居の家具の配置を決めておくことで効率的に作業を進められます
引越し当日はやるべきことがたくさんあります。当日のスケジュールを立てるためにも、引越しの作業がどれくらいの時間がかかるのかは気になるところですよね。そこでこの記事では、引越し業者を選ぶ際のポイント、引越しの作業時間の目安と荷造りの段階で作業時間を短くするためのコツ、そして引越し当日の流れを解説します。
引越しの作業時間
引越しの作業は、旧居から荷物を搬出する時間、引越し先までの移動時間、新居への荷物の搬入時間によってかかる時間が変わります。
具体例を挙げると、引越し距離が
- 300km程度(東京~愛知ほどの距離)であれば約1~2日前後
- 500km程度(東京~大阪ほどの距離)であれば約3~4日前後
が平均的な日数といわれています。
仮に、東京~大阪間を車で移動するだけなら約6~8時間で済むため、「6時間で移動できるなら引越しも1日で終わるのでは?」と、考える方も少なくないでしょう。しかし、引越しでは移動以外の搬出・搬入作業にも意外と時間がかかるものです。実際に搬出・搬入作業にどの程度の時間がかかるのか、なぜ時間がかかるのか内訳をみていきましょう。
搬出の時間(旧居)
旧居から荷物を搬出する時間は、引越し人数や荷物の量によって異なりますが、平均して1時間前後が目安といわれています。内訳は以下のとおりです。
養生作業:10分前後
荷物を運び出す前に、まずは部屋の養生・コーティングをする必要があります。家具や家電など重い荷物を運び出すとき、部屋の壁や床に傷をつけるのを防ぐためです。マンションなどの場合はエレベーターなど共用部分にも行います。引越し業者を利用する場合は養生作業も業者に行ってもらえるので、スムーズにいけば10分前後で完了します。
搬出:45分前後
養生が完了したら荷物を搬出します。まずはパジャマや寝具など、当日まで使用していたものをその場で梱包しましょう。ダンボールは一人でも運べますが、テレビなどの大型家電は複数人で運ばなくてはなりません。ベッドなどの大型家具も場合によっては分解する必要があるため、作業時間のロスになります。また、マンションの高層階であったり、エレベーターのない建物で階段を使用したりする場合もさらに時間がかかります。
チェック:5分前後
荷物をすべて運び出したら、養生を撤去し、忘れものがないかを確認して搬出作業は完了です。
新居まで移動する
新居までは自身で移動することになります。旧居から荷物を搬出する際、新居に荷物を搬入する際には、鍵を持っている本人の立ち会いが必要です。引越し業者のトラックへの同乗は禁止されているため、自家用車や公共交通機関での移動が一般的です。移動時間が長引いて引越し先で引越し業者を待たせてしまう場合は、事前に相談しておきましょう。
また、日をまたぐ長距離引越しは、翌日新居で引越し業者を待つのが一般的です。
搬入の時間(新居)
新居に着いたら、続いて搬入作業です。搬入には搬出時のような荷物の梱包がないので、比較的短時間で終わります。ただし、搬出時と同様に、マンションの高層階か低層階かなどの条件によって作業時間は変動します。新居での搬入時間の内訳は以下のとおりです。
養生:10分前後
新居の壁や床、マンションの共用部分などを荷物の運び入れで傷つけないために、搬入時にもしっかりと養生を行います。
搬入:45分前後
養生が済んだら、続いて荷物の運び入れと家具・家電の設置作業に移ります。
最終確認:5分前後
荷物の運び入れが終わり、養生を撤去して搬入作業は完了です。
ライフラインの開通(ガス、電気、水道)をする
引越し前に各業者に連絡して利用開始の手続きを忘れないようにしましょう。特にガスの開栓は、本人立ち会いのもと、ガス会社の担当者に開栓作業をしてもらう必要があります。引越し作業と被らないように調整し、立ち会いの予約をしておきましょう。電気、水道は、あらかじめ利用開始の手続きをしておけば、入居日から使用できます。ブレーカーを上げて電気を通し、水道の元栓を開けて水を使えるようにしましょう。
ライフラインの手続きに関してはこちらの記事でご紹介します。
引越しする際のライフラインの手続き方法は?申請時に必要なものや注意点をご紹介
荷解きをする

事前に貼っておいたテープを参考に荷解きしていきます。ポイントが3つあります。
大きな家具から設置する
洗濯機などと違い自由に配置できるソファやタンスなどの家具は配置に悩んでしまうかもしれません。引越し前に間取り図を見ながら配置場所をあらかじめ考えておきましょう。
ダンボールは部屋ごとに分けて運ぶ
ダンボールにどこの部屋で使うのかをメモしておくことで、引越し業者に指定の部屋に運んでもらえるでしょう。自分でダンボールを移動する手間を省くことができます。
すぐに使うものから荷解きをする
とりあえず目についた箱から開梱作業を進めていくことはおすすめしません。いつのまにか想像より時間がかかり、疲れているのに布団やカーテンなどの日用品を出せていないなんてことになりかねません。優先順位を考えて、引越し日当日にすぐに必要になるものから荷解きをしましょう。
荷解きのコツはこちらの記事で詳しくご紹介します。
作業時間を左右する条件
引越しにかかる作業時間はさまざまな要因で変わります。
旧居から新居への荷物運搬は基本的にトラックを使います。家のそばまでトラックで乗り入れてから手作業で荷物を搬出入しますが、家の前の道が細くトラックを停められなかったり、建物に入ってから住居スペースまでが遠かったりすることもあるでしょう。そうすると、手作業で運ぶ距離が長くなり作業に時間がかかります。また、家が地上階にない場合は階段かエレベーターを使う必要がありますが、エレベーターがない物件や何らかの理由で使えない場合には、荷物を持って階段を上り下りするため同じく所要時間が長くなります。
荷物や壁などの養生も必要です。大きな荷物を運ぶ際に壁にぶつけてしまうと荷物や物件を破損させる恐れがあります。よって、大きな荷物や壊れやすい荷物が多いほど養生すべき箇所が増え、作業時間の増加に繋がります。引越し業者によっては、前の引越しが長引いて開始時間が遅くなる可能性もあります。
引越しの作業時間を減らすためには
作業時間の内訳を知ることで、意外にも時間がかかることをおわかりいただけたでしょう。引越し作業は時間との勝負です。なるべく早く作業を進めてもらうためにも、引越し業者が来る前にできることは済ませてしまいましょう。ここでは引越しの作業時間を減らすために意識すべきポイントを紹介します。
引越しで必要なものリスト
作業で必要なもの
・梱包資材(ダンボール、ガムテープ、紐、緩衝材)
荷造りで必要です。
・はさみ
ダンボールを梱包する際、紐やテープを切るために使います。
・油性マーカー
ダンボールの表面にメモするために使います。
・ごみ袋
液体容器の保護に使用します。
・新聞紙
緩衝材として便利です。
・掃除用具
荷造りの際に出てきたゴミを掃除するために使います。この際、普段できないところも掃除するといいでしょう。
・養生テープ
持って行くべきもの
・持ち歩き用バック
・貴重品(財布、通帳、印鑑、新居の契約書などの重要書類)
・新居の鍵
・携帯、スマートフォン
・筆記用具
・新居の家具配置がわかるメモ
荷物の量を減らす
引越しで運ぶ荷物の量は、少なければ少ないほど引越し時間を短縮できます。そのために、荷物の量はなるべく最小限におさえ、不用品は処分するのが賢明といえます。まだ使えるものはフリマアプリやリサイクルショップを利用すれば、思わぬ収入源になり、引越し費用が安くおさえられる可能性もあるので、一石二鳥です。出品や持ち込みが面倒なら、必要としている知人に譲る方法もあります。ここでは、荷物の量を減らすためにできることを方法別にご紹介します。
荷物を減らすコツはこちらの記事でご紹介します。
きちんと荷造りを済ませる
持っていく荷物を厳選したら、次に重要なのが荷造りを完了させることです。一見、当たり前のようですが、仕事などで忙しくて荷造りが終わらないまま当日を迎える、というパターンは意外に多いものです。当然ですが、荷造りが完了しなければ搬出はできません。寝具など当日梱包するものは最小限におさえ、残りはすべて当日までに梱包を終わらせましょう。なお、荷造りの際はホームセンターなどで購入できる養生テープなどを使いダンボールの上面と側面に荷物の中身や使う場所を明記しておくと、搬入や荷ほどきをスムーズに進めることができます。衣装ケースなど軽い収納家具なら中身を詰めたまま運んでもらえます。扉が開かないように養生テープなどで留めておきましょう。軽い収納家具以外は、基本的にダンボールに詰めていきます。季節外のものや、すぐに使わないものから先に詰めていきましょう。
荷物を運ぶ部屋を決めておく
新居に荷物を搬入する際は、事前にどの荷物をどの部屋に運ぶか決めておきましょう。荷物が使いたい部屋以外に置いてあると、どこに何があるかわかりづらくなるうえに、正しい場所に運び直す手間がかかります。
荷物をスムーズに搬入するためのコツとして、内見や契約のときにもらえる間取り図を拡大コピーして、どの部屋に何を置くかの指示図を書いておくとわかりやすくなります。引越し業者のスタッフに見せれば、スタッフも動きやすくなるでしょう。荷造りの段階でもなるべく同じ場所に収納するものをひとまとめに梱包して、箱に中身と置く場所などを書いておくとその後の工程が楽になります。
家具の配置を決める
荷物の搬入場所を決めて指示図を書く際に、ベッドや冷蔵庫など大型の家具・家電は具体的な設置場所まで決めておきましょう。大きな家具・家電は後日だと動かしづらく、また搬入時点で置き場所を誤ると不便が生じるうえに時間も無駄になるため、あらかじめ大型の道具をどこに置くか考えておくのが重要です。
また、置き場所を決めて指示図に書く際は、各家具の向きまでわかるように書いておくことがポイントです。場所は合っていても向きが違うと使いづらかったり、ほかの家具・家電を置く場所がなくなる可能性があります。
引越し業者を使ってスムーズに引越しをするポイント
しっかり荷造りをしたとしても、引越し業者によっては計画通りに引越しを進められないこともあります。
午後便ではなく、午前便を選ぶ
「朝に弱いから、午後からの引越しにしよう。」と考える方もいるかもしれません。
しかし一般的には、引越し後の片付け作業は当日中に終わらせたいと考える人が多いことから、午前便の方が引越しの依頼が多いです。午後便で申込む場合は、前の引越しでトラブル等があると遅延が生じます。
引越しは時間のかかる作業です。荷物の搬出・搬入で終わりではなく、マンションの管理会社や大家さんによるチェック、鍵の受け渡しなど、他にもやらなければならないことは多数あります。人によっては、新幹線や飛行機を利用して新居に行く方もいるでしょう。引越しを安易に午後に設定し、遅延が生じるとその後の計画も全て破綻するので、当日の開始時間はよく考えて決めましょう。
対応の早い業者を選ぶ
荷造りもして、午前の便を選んだからといっても、完璧というわけではありません。引越し業者の腕によっても作業時間は長くなったり短くなったりします。屈強な見た目でも作業が遅い人や、華奢でもベテランの方もいます。手際の良い作業をしてくれる業者を選ぶことが重要です。しかし、誰が来てくれるかは当日にならないと分からないと思った方もいるのではないでしょうか。依頼する引越し業者が手早く仕事をしてくれるかどうかは、見積りの段階で分かることがあるかもしれません。次の点を参考にしてみてください。
1インターネットでの比較見積りの返信
Webサイトから複数の業者を比較する人がとても増えています。その返信の速度は引越し業者を見極める際の1番のポイントです。
2電話での問い合わせ
電話口でもきちんと丁寧に応対できているかチェックしましょう。
3担当者からの折り返し電話
約束時間までにきちんと折り返しの電話をかけてくるかどうかも、大切な判断材料になります。
4訪問見積り
時間内に業務を完了させたか、テキパキと仕事をこなしているか、その場で見積り書を渡してくれるかといった仕事ぶりを見てみましょう。
作業人数のチェック
作業人数は料金のことを考えると少ないほうがいいと思う人もいるかもしれません。しかし、反対に、作業員の人数が少ないほど作業時間がかかります。
単身者の引越しの場合は、2〜3人の作業員が来ることが多く、家族の場合は、5〜7人程度の作業員が来てくれます。
引越し当日の流れ
引越し当日は多くの作業が必要で、引越し業者や大家さんなどが訪問してくるため、できるだけ各作業を手早く済ませたいものです。荷造りの仕上げから新居への荷物搬入まで、やるべきことを把握して効率的に進めましょう。
荷造りの仕上げ
まず残っていた荷物を荷造りします。日用品やパジャマ、携帯電話の充電器など毎日使うものは直前まで荷造りできないため、事前に大きめのダンボールを用意しておき、引越し当日に梱包しましょう。当日まで使っていたものは新居に行ってからもすぐ使うものです。引越しが終わってからすぐ取り出せるように、同じ箱にまとめて梱包すると便利です。
また残った荷物の梱包はなるべく手早く行いましょう。引越し業者が来てからも荷造りが終わっていないと、業者を待たせたり手伝ってもらうことで追加料金がかかる場合があります。
荷物・家具の搬出
引越し業者が家に到着したら荷物を搬出します。
多くの場合、最初に引越し当日の動きを再確認した後に引越し料金を支払います。引越し業者への支払いは基本的に現金での前払い形式であるため、事前に必要額を準備しておきましょう。お釣りが出ないようにちょうどの金額を用意するとよりスムーズです。
支払いが終わると荷物の搬出が始まります。荷物の破損・紛失・積み忘れなどのトラブルを防ぐために、依頼者の立ち会いが求められます。荷物・家具の配置などについて質問されることもあるため、いつでも答えられるようにしておきましょう。なお立ち会いの最中でも掃除などはできるため、搬出後の場所から少しずつ進めていくと効率的です。自分ですぐに使う日用品を運ばない場合は、それらが奥に入れ込まれて取りづらくならないように注意しましょう。
各部屋の掃除
荷物をトラックに積み込むかたわらで、旧居の掃除も同時に行います。搬出が終わったところから順次きれいにしていきましょう。搬出中に出てくるごみの処分も必要です。特に賃貸物件では、退去前に家を掃除しておくと敷金がいくらか戻ってくる場合があります。多少でも引越し料金を節約できるように掃除するのがおすすめです。
引越し当日に行う掃除は荷物の撤去後に空いた床などのスペースが中心になります。雑巾を多めに用意しておき埃や汚れなどを取り除きましょう。なお掃除機を使う場合は、引越し業者に最後まで搬出しないよう伝えておきましょう。
部屋の明け渡し
荷物の搬出と掃除が終わったら、必要に応じてガスの停止手続きと鍵の返却を行います。
ガス停止の手続きが必要な場合は、旧居内が空になってから、訪問してきたガス会社の担当者と一緒にガスを停止します。あらかじめ搬出作業が終わる時間帯に依頼しておきましょう。停止手続きは10分ほどで完了します。
ガスの停止後、賃貸物件では大家さんや不動産会社に鍵の返却をして部屋を明け渡します。家の中を見て傷や汚れなどを確認し、確認後に鍵や備品を大家さんや不動産会社に返却すれば退去完了です。
新居への搬入
新居に移動したら引越し業者と一緒に荷物を搬入します。搬入時に引越しスタッフにどの荷物をどの部屋・どの向きに置くか指示を出します。前述のとおり、事前に荷物の配置を指示図にまとめておくと円滑に作業を進められます。大きな家具はできるだけ搬入段階で最適な場所に配置してもらい、引越し当日からすぐ使う荷物には箱に目印を付けておくとスタッフが室内のわかりやすい場所に配置してくれます。
また、引越し当日は荷物の搬入以外にライフラインの開通手続きを行うこともあります。特にガスは開始にも立ち会いが必要なため、荷物を搬入する前にあらかじめ開始手続きを済ませておきましょう。
その他の節約のコツ
これまで解説してきたように、荷物の量を減らしたり、事前に準備をしたりすることで時短につながります。最後に、引越し料金をおさえるためのコツについてご説明します。
引越し繁忙期を避ける
新生活が始まる3月下旬〜4月上旬は、進学や就職、転勤にともない引越し需要が高まるため、引越し料金が高騰します。可能であれば繁忙期を避けて引越しをするほうがおすすめです。
ダンボールの量にも注意する
引越し業者によって梱包用のダンボールを無料でくれる場合があります。あらかじめ引越し業者に確認しておきましょう。もし引越し業者のダンボールが有料である場合、近くのスーパーなどで使用済みダンボールを無料でもらえることがあります。
引越し当日のQ &A
ここまで引越しの流れを見てきましたが、最後に引越しの際に多く寄せられるQ &Aに答えていきます。
当日までに荷造りが終わらない場合はどうしたらいい?

追加料金を払えば、手伝ってくれる業者もあります。どうしても荷造りが終わらない場合は、それが分かった時点でできるだけ早く引越し業者に連絡しましょう。どうしてもその日に引っ越さなくても良い場合は、一旦キャンセルして別日に延期するのも手です。ただし引越し日の前々日以降のキャンセルには、キャンセル料が発生する場合があるので注意しましょう。
引越し業者に差し入れは渡す?
差し入れは必須ではありませんが、コミュニケーションの一環として差し入れを渡す方も多くいらっしゃいます。夏は冷たいもの、冬は温かいものが喜ばれます。
挨拶回りは当日にすべき?
できるだけ当日、遅くても翌日に伺えると良いでしょう。このとき慌ただしい印象にならないよう気をつけましょう。土日であればまだ日の出ている時間に挨拶するのがいいでしょう。平日は仕事で家にいない人が多いので、夕方頃に伺うか、挨拶の手紙や粗品をポストに入れておくという方法もあります。
まとめ
引越しの所要時間を短縮するための工夫、そして引越し当日にやるべきことを解説しました。引越し作業の所要時間を短縮できれば、新居の片付けや役所での手続き、近隣への挨拶などに時間を割けます。準備作業の内容やおおよそかかる時間を把握し、効率良く引越しを行いましょう。